インテリジェンス・ナウ
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CIA支局長“射殺犯”をなぜグルジアは仮出所させたのか

春名幹男
執筆者:春名幹男 2008年12月号
カテゴリ: 国際
エリア: ロシア 北米

 グルジアでは、この日に奇妙な事件が起きる。 今年八月八日、そう実感した。この日、グルジア軍が南オセチア自治州に進攻、ロシア軍との交戦が始まった。だが、十五年前のこの日、もっと不可解な事件が起きていたのである。 フレッド・ウッドラフ氏(当時四十五歳)。米中央情報局(CIA)のトビリシ支局長だった彼が頭部を撃たれ即死したのも、一九九三年のこの日だった。同年九号の本欄でもこの事件について触れた。 犯人が逮捕されたのは事件から数時間後。グルジア情報機関は、殺人の疑いで逮捕したアンゾル・シャルマイゼ(現在三十六歳)が「酔っぱらってAK47を乱射した悲劇的事件」と断定。シャルマイゼは翌年、有罪判決を受け、服役していた。 ところが、米大統領選の十一日前の今年十月二十四日、突然シャルマイゼ受刑者が仮出所を認められ、山間部にある自宅に戻ったのだ。 シャルマイゼ元受刑者は、この時期に一体なぜ、自由の身になることができたのか。 意外にも、シャルマイゼ元受刑者の仮出所をウッドラフ氏の実姉ジョージア・アレグザンダーさんや彼女の弁護士マイケル・プララ氏は歓迎している。 実は、遺族と弁護士はシャルマイゼ犯行説を疑い、事件の再捜査をグルジア政府当局に求めてきた。受刑者の仮出所で、事件の真相解明に弾みがつくと期待しているのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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