日本とロシアの関係は、いま変化しつつある。領土問題の解決に生かす手もありそうだが、他方で障害の発生も――。 七月の日露首脳会談で決まったプーチン・ロシア首相の年内訪日計画に対して、米政府が日本に横槍を入れてきたことはあまり知られていない。 米国は八月のロシア軍によるグルジア侵攻を非難し、ロシアを国際社会から孤立させる外交を進めている。欧州連合(EU)もロシアには冷淡で、プーチンはグルジア戦後、一度も外遊していない。ロシア側はプーチン訪日を国際的孤立を脱却する突破口と期待しているが、米側は外交ルートを通じ、この時期にプーチンを訪問させないよう日本政府に水面下で求めたという。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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