野球界の偉人ベーブ・ルースの死から六十年の今年、ふたつの「新証言」が取り上げられ、その存在がいまだにアメリカの人々の意識のなかで大きいことがあらためて示された。 まずはアメリカ歯科協会報。五十三歳の若さで亡くなったルースの死因は、タバコと酒好きからかかったのどの癌という誰もが信じる通説を否定するものだった。ルースの大ファンである四十一歳のニューヨーク州の歯科医が、一年をかけて当時の記録を調べ直し、ルースは鼻咽頭腫瘍という北米では珍しい癌が原因で死亡したことを探り当てた。鼻咽頭とは鼻の後部、柔らかい口蓋の上部にある。
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