難攻不落「公務員制度改革」の“本丸”が見えた

執筆者:白石均 2008年12月号
タグ: 日本
エリア: アジア

政治家を巻き込んだ「骨抜き派」の工作はエスカレートする一方。だが、「改革派」の奮闘の中から、意外な突破口が見つかりつつある。「内閣人事局来年度設置に“黄信号”」。十一月八日、複数の全国紙朝刊で、申し合わせたかのような見出しが躍った。 不可思議な話だ。「来年度設置」という予定はもともと存在しない。今年六月に決まった公務員制度改革基本法に書かれているのは、一年以内に内閣人事局設置のための法案を国会に提出すること。人事局設置の時期について法律に定めはないし、茂木敏充前行政改革担当大臣も甘利明現大臣も「設置時期は政治判断」と繰り返している。勝手に決めたのは、先月号で紹介したとおり、国家公務員制度改革推進本部事務局の松田隆利次長(前総務事務次官)だ。出身の旧行政管理庁を「内閣人事局」に格上げする構想を実現するため、「来年度設置。そのためには十一月中旬までに内容確定」というタイトなスケジュールを敢えて設定し、自分のプランに乗らざるを得ない状況に追い込む狙い。スケジュールを制すれば、内容も制す。官僚道の鉄則だ。「黄信号」「設置先送り」といった言葉を誰が流布しているかは一目瞭然。「来年度設置」に誘導したい官僚による情報操作だ。

カテゴリ: 政治
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