未踏の危機領域に突入したアメリカを日本が追いかける

執筆者:小田博利 2009年1月号
エリア: 北米 日本

ナスダック元会長が逮捕され、「墓場のダンサー」も躓いた。「百年に一度の津波」は想像以上の威力を見せる。米国はニューリーダーに最後の望みを託すのみ。日本では政治と経済の下振れがとどまるところを知らない。 クリスマスの飾り付けが街を彩る師走の米国で発覚した詐欺話は、二〇〇八年のウォール街を象徴する。ナスダックのバーナード・マドフ元会長が十二月十一日に、詐欺の疑いで米連邦捜査局(FBI)に逮捕された。ねずみ講の手口で投資家から資金を集め、約五百億ドルの損害を与えた容疑だ。野村ホールディングスや英HSBC、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、マン・グループなど錚々たる金融機関が被害者リストに名を連ねている。株価だけでなくウォール街のモラルも暴落していた。 十二月八日にも憂鬱なニュースが流れた。『ロサンゼルス・タイムズ』や『シカゴ・トリビューン』など日本でもお馴染の有力紙を傘下に持つ米メディア大手トリビューン社が、日本の民事再生法に相当する連邦破産法十一条の適用を申請したからだ。負債総額は百三十億ドルと一兆円を超える。 読者の新聞離れや不況による広告収入の減少に歯止めがかからず、巨額の債務を返済する見通しが立たなくなった。新聞やテレビ事業は継続しつつ、傘下の大リーグ球団シカゴ・カブスと球団本拠地リグレーフィールドの売却先を探し、債務返済の資金繰りに充てる。ここまでなら、メディア産業のありきたりの話だが、もうひとつオマケがつく。

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