“半導体のカリスマ”社長 台湾メーカー子会社化の訳

2009年1月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 日本の半導体業界で「唯一のプロ経営者」と高く評価されてきたエルピーダメモリの坂本幸雄社長兼最高経営責任者が窮地に陥っている。 エルピーダは二〇〇八年十一月末、台湾・台中県で半導体メモリーの「DRAM」を生産している合弁会社を連結子会社にすると発表。坂本社長は直前に台湾に乗り込み、合弁相手の現地メーカー、力晶半導体から株式を買い取る話をつけていた。子会社化の表向きの理由は「工場運営の主導権を握り、市況変化に柔軟に対応できる生産体制を敷く」こと。市況商品であるDRAMの価格が約一年、採算割れで低迷しているのに対処するためだというのだが――。 本音は違う。エルピーダは十二月現在、約千九百億円の有利子負債について、決算期末の純資産が一年前の七五%を下回れば銀行が返済を要求できる「財務制限条項」を負っている。このまま赤字が続けば、〇九年三月期末には条項に触れる恐れがあった。台湾合弁会社の子会社化で連結純資産を約六百億円増やし、「貸し剥がし」を回避するのが真の狙いとみられる。 十一月上旬には五百億円の新株予約権付社債(CB)を発行したものの、その後の株価が条件を満たさなかったため十二月上旬に繰り上げ償還の憂き目にあった。「韓国サムスン電子を抜いてDRAM世界一になる」と意気軒昂だった坂本社長だが、「金策」に追われる日々だ。

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