高齢世代の貧困から目をそらす“確信犯”

2009年1月号
エリア: 日本

社会の変化をよそに六十年近くも放置されてきた生活保護制度。本当の弱者を助けるどころか、イジメのような改悪が続いている。「大幅減益」「人員整理」「内定取り消し」――。米国での金融危機をきっかけとした世界同時不況は国内経済を直撃。このところ、見ただけで気の滅入る言葉が新聞の見出しを飾るようになった。 企業の収益悪化は雇用不安を生み、所得低下が消費を縮小させ、さらに企業収益を悪化させる。悪循環は国民生活の活力を奪い、特に非正規雇用の「ワーキングプア」層は簡単に本物のプア=貧困へと落ちていく。そうした時、公的なセーフティネットを頼りにしたくなるが、貧困世帯への支援制度は既に「満席状態」にある。 二〇〇八年九月、厚生労働省が公表した社会福祉行政業務報告によると、〇七年度の生活保護受給世帯は一カ月平均で百十万世帯を突破、過去最高を記録した。 〇七年度は戦後最長とされる景気拡大がまだ持続していた時期で、生活保護の増加と景気動向は特に関係がない。実は、〇二年二月から七十カ月以上も国内の景気が拡大する中で、生活保護受給世帯は一貫して増加してきた。しかも、〇七年度の受給世帯のおよそ四五%を、六十五歳以上の高齢者世帯が占めている。バブル景気が始まる直前だった一九八七年度を見ると、高齢者世帯の比率は三三%。景気拡大の陰で、「貧困」はじわじわと高齢世代に広がっていたのだ。

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