クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

ビッグ・スリーを助ける妙案はある?

執筆者:徳岡孝夫 2009年1月号
タグ: アメリカ 日本
エリア: 北米

 新聞に出てたちまち全米に知られ、日本にも届いたセリフがある。ビッグ・スリー(三大自動車メーカー)は新車がさっぱり売れず、またトヨタ、ホンダその他の外国勢に追い上げられて苦境にある。三社の首脳がガン首そろえて連邦議会の公聴会に出て、円に換算すれば兆で数える巨額の緊急支援をお願いした。そのとき下院議員ゲーリー・アッカーマン(民主党)が吐いた名文句である。「経営合理化を約束させられている企業のトップが、ワシントン空港に着陸した専用ジェット機から物乞いそっくりに錫のマグカップを手に降りてくる光景には、甘美な皮肉があった。救貧スープを待つ行列の中に、シルクハットにタキシードを着た紳士を見たときのようだった」

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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