いま警戒しておくべき安全保障上の「四つの危険」

執筆者:マイケル・グリーン 2009年2月号
エリア: 北米 日本

[ワシントン発]アメリカのサブプライム住宅ローンの焦げ付きと、昨年九月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻を発端とした世界金融危機は、ニューヨークから東京に至るまで世界中の株式市場の時価総額を半減させる大混乱を招いた。さらに二〇〇九年の世界の国内総生産(GDP)総計は、この数十年で最悪のものになると予測されている。 一方、米政府が主導する景気刺激策が徐々に効果を現し、今年の暮れまでに世界経済は底を打ち、緩やかながらも着実な成長軌道に戻るのではないかと見る経済専門家も多い。 とはいえ、今の時代、確実なことなど何もない。消費者ローンや学資ローンの焦げ付き、あるいは欧米での住宅価格のさらなる暴落など、サブプライムローンの他にも、まだまだはじける余地のある「バブル」はある。そして、ドルの暴落という究極の危険も否定できない。 これまでのところ、経済危機の影響はアジアの基本的な戦略環境には及んでいない。中国がアメリカに取って代わって地域の覇権国家を目指す気配はない。というのも、中国政府首脳部は、経済成長の鈍化が招く国内の政治不安に対処することを優先しており、国際社会における力の増大に目を向ける状態にはないからだ。そして、この経済危機の嵐から避難するための安全な駆け込み先を探し求める世界中の投資家にとって、アメリカが有力な選択肢であり続ける以上、ドルの優位は揺るがない。加えて、最新鋭のF22戦闘機や攻撃型のバージニア級原子力潜水艦などが続々と実戦配備される限り、アメリカの軍事的優位も動かない。

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執筆者プロフィール
マイケル・グリーン 1961年生れ。フルブライト留学生として東京大学大学院に留学。国会議員秘書や新聞記者などで5年間の滞日経験をもち、日本語に堪能。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)より博士号取得。2001年、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)入りし、04年から05年まで上級アジア部長。06年初めよりCSIS日本部長とジョージタウン大学教授を兼務している。
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