誤算続きの東京証券取引所“言い訳”は金融危機

執筆者: 2009年2月号
タグ: 日本

 金融危機を“言い訳”に使いたい者たちもいる。さだめし東京証券取引所あたりはその筆頭だろう。 というのも、東証が開設に向け準備を進めてきた「プロ(機関投資家)向け市場」が暗礁に乗り上げているからだ。新市場開設の狙いは、参加者をリスクの取れるプロに限って市場を活性化し、国内の機関投資家を育成して「外国人投資家頼みのいびつな日本市場」(東証の斉藤惇社長)の構造を変えること。しかし、東証が新市場のモデルとする英国ロンドン証券取引所の新興市場AIMは、金融危機に伴う景気悪化で上場企業数が伸び悩み、機関投資家も業績を悪化させ取引が低迷。市場を取り巻く環境は日本も同じで、「いまプロ向け市場を立ち上げても参加者はほとんど見込めないだろう」(大手証券幹部)との冷めた声が大勢を占めている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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