フィギュアスケート「非芸術的」採点システムの緩和

執筆者:生島淳 2009年2月号
カテゴリ: スポーツ

 フィギュアスケート界では東西冷戦の影が、つい最近まで残っていた。それが表面化したのが二〇〇二年の米ソルトレイクシティ五輪だった。 事件が起きたのはペア・フリーの演技。ロシア・ペアが金、カナダ・ペアが銀となったが、ロシア側には目に見えるミスがあった。アメリカのマスコミがこぞって「この判定はおかしい」と声を上げ始めると、フランスの審判員が「ロシアとの間で密約を交わしていた」と告白し、騒ぎが大きくなった。 真相はこうだ。フランスの審判員がペアでロシアに高得点を与える代わりに、ロシアの審判員はアイスダンスでフランスの選手に高得点を与える。競技が始まる前、こうした密約が露仏の間で交わされていたのだ。 なぜ、裏取引が行なわれたのか。そこにフィギュアの採点システムと冷戦の構造が交錯してくる。 かつての採点システムでは、九人の審判員が技術点と芸術点を各六点満点で採点したが、全体的な印象で選手を順位付けするものだった。細かい基準があるわけでなく「印象」が重要なため、密約が介在する余地があった。 ソルトレイクシティで審判員がどの国に一位を付けたのかを調べると、●ロシア・ペア一位――ロシア、ウクライナ、ポーランド、中国

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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