日本でもすっかり定着したミネラルウォーターだが、先進国の需要は頭打ち。世界の有力メーカーは「安全」を看板に途上国へ軸足を移す。「空気と水はタダ」という概念は、ひと昔前の日本人の常識というばかりでなく、おそらく近代以降の人間社会の基本概念であった。いずれが欠けても人の死に直結するわけで、人の生存権の確立とともに、“常識”になってきたと考えられる。 ところが二十一世紀になって、水ばかりか、ついに空気までもが有料になった。空気を燃やした残りカスである二酸化炭素を出す権利、「二酸化炭素排出権」に価格が付されたことで、空気も事実上タダではなくなったのである。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン