経済危機のロシアで進む“埋蔵金”の分捕り合戦

執筆者:酒戸充 2009年3月号
エリア: ロシア

強権で泣く子も黙らせたロシアで、ついに反プーチン集会まで始まった。募る経済危機。しかし、権力中枢では――。[モスクワ発]一月下旬、モスクワ北方に位置するノブゴロド州の保養地でコンサートが開かれた。演奏者は一九七〇―八〇年代に流行ったスウェーデン出身のグループABBAのカバー・バンド。ロシア紙によると、聴衆の中にはウラジーミル・プーチン首相とその仲間たちが含まれ、首相は時折、手を振り、終始ご満悦だったという。こわもて首相がABBAのファンだったとは意外だが、その首相もヒット曲のひとつ「マネー、マネー、マネー」が演奏されたときには一時現実に引き戻されたかもしれない。金融危機のさなか、各省庁や、民間、政府系を問わず銀行、企業などが、政府に資金援助を要請しているからだ。 プーチン首相は二月五日、国営の対外経済銀行と対外貿易銀行からの要請に応じて、総額三千億ルーブル(約九千億円)の資金供与を新たに決めた。アルミ世界最大手UCルサールのオーナーで二〇〇八年版の米フォーブス誌富豪ランキングでロシアトップとなったオレグ・デリパスカ氏も約三百億ドルの負債を抱え込み、政府に支援を要請している。 公的資金で銀行や企業を支援する――。ここまでは欧米諸国などと同じなのだが、問題は使われ方が国民や株主の目線に立ったものではないうえ、公正な手続きもなしに決まることだ。国営銀行の幹部によると、昨年、ロシア政府は中小金融機関に貸し出すことを前提に主要金融機関にルーブルを供与したが、その多くは融資に回らず主要銀によるドル買い資金となったという。主要銀はルーブル下落に備えてドルを含めた外国資金の確保に動いていたのだ。

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