迫る「チベット蜂起」五十周年に高まる中国の緊張

執筆者:藤田洋毅 2009年3月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

「三月十日から二十八日までの間に、何も起きないことはありえない」と、中国共産党幹部は身構えて……。「千年の情念を込めた闘いですから」――毛沢東主席が呼びかけた「支援辺境建設」に応じ、一九五〇年代末に沿海部の大都市からチベット、新疆ウイグルという少数民族自治区に移住した二人の老知識人が漏らした。前者は「高度な自治」、後者は「東トルキスタン建国」を求める違いはあるものの、「分裂主義者」への弾圧を貫く中国当局との「ニ死我活・我死ニ活(生きるか死ぬか)」の闘争は、収まる気配を見せない。二人は「文化大革命以前、ほんの一時期、われわれ漢族と少数民族の距離は縮まったと感じた。だが、彼らの風俗を否定し寺院を破壊するなど毛の極左政策が台無しにした。トウ小平の金銭万能主義は、さらに傷口を深めた。出口は見えない」と口を揃える。 少数民族の同僚を「民族同志」と呼ぶ新疆の老知識人が例を挙げた。毛は、文芸活動を通じ党の政策を浸透させる「宣伝工作」を重要視した。党は十代半ばの少数民族の子弟を選抜して北京や上海など「内地」へ送り、音楽や舞踊などの専門教育を受けさせ、卒業後に自治区に戻して宣伝工作の尖兵にしようとした。

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