派遣切りもまるで「他人事」の雇用行政

2009年3月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

長年、雇用政策のカヤの外に置かれ、仕事はぬるま湯。自分たちの定時退庁だけが、“労働基準監督の省”らしさの表れだった――。「全省を挙げて対応いたしました。(今後も)困った方々には救援の手を差し伸べたいと思っております」 舛添要一厚生労働大臣は前年末から東京・霞が関の官庁街に隣接する日比谷公園に出現した「年越し派遣村」への対応について、一月五日朝に国会内で行なわれた新年初の記者会見で、得意げにこう語った。 大晦日にオープンした「年越し派遣村」には失業中の元派遣社員ら約五百人が詰め掛け、支援者たちが用意したテント小屋はパンク。年が明けた一月二日、厚生労働省は「緊急避難的措置」として省内の講堂を宿泊場所に開放、食糧の確保や生活保護申請の手配などの面倒まで見た。 支持率がじり貧状態の麻生政権にとって、失業者への支援は格好のパフォーマンスと言える。国民の信頼を完全に失っている厚生労働省にも久々のアピール材料になったことは間違いない。舛添氏が得意満面なのはそのせいだが、冒頭の発言にある「全省を挙げて」という言葉は、いささか正確さを欠いている。 正月休みを返上して派遣村対策に走り回ったのは、主に生活保護などの福祉政策を担当する社会・援護局の職員たち。派遣村の「村民」らは雇用行政の不備などを訴えたものの、応対した社会・援護局の職員は「関係部署と調整する」といった曖昧な回答しかできなかった。

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