真の無政府地帯「ソマリア」の知られざる現実

白戸圭一
執筆者:白戸圭一 2009年3月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: アフリカ

ソマリア沖への自衛隊派遣は既定路線。だからこそ、イスラム原理主義と深く結びつく彼の地の実態を把握すべきではないか。 住宅地の路地裏で人の背丈ほどのサボテンが群生する一角を覗き込むと、グニャグニャに曲がったヘリコプターの回転翼が見えた。全土を実効支配する政府が一九九一年から存在しない東アフリカのソマリア。二〇〇五年六月と〇七年一月の二度にわたって首都モガディシオを訪れた筆者が見たのは、九三年十月の戦闘で撃墜された米軍ヘリ・ブラックホークの残骸であった。 ブラックホーク撃墜に象徴される国連平和執行活動の失敗から十余年。このほど海上自衛隊の護衛艦が海賊対策のためにソマリア沖に派遣されることになったが、海賊の拠点ソマリアについては極めて情報が乏しい。そこで本稿では、ソマリア国内の「イスラム原理主義の動向」と「金の流れ」の二点について解説を試みたいと思う。資金源に事欠かない武装勢力 〇六年六月にモガディシオを制圧した原理主義勢力「イスラム法廷連合」は、その六カ月後、暫定政府を支援するエチオピア軍の侵攻で国の南部に撤退した。しかし、その後、法廷連合の穏健派は暫定政府に接近し、今年一月三十一日に隣国のジブチで行なわれた暫定政府との統一国会での選挙で、穏健派イスラム主義者のシャリフ・アーメッド氏を大統領に選出した。

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執筆者プロフィール
白戸圭一
白戸圭一 三井物産戦略研究所国際情報部 中東・アフリカ室主席研究員。京都大学大学院客員准教授。1970年埼玉県生れ。95年立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。同年毎日新聞社入社。鹿児島支局、福岡総局、外信部を経て、2004年から08年までヨハネスブルク特派員。ワシントン特派員を最後に2014年3月末で退社。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞)、共著に『新生南アフリカと日本』『南アフリカと民主化』(ともに勁草書房)など。
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