安堵も束の間で再び崖っぷちに立つイギリス経済

執筆者:マイケル・ビンヨン 2009年3月号
エリア: ヨーロッパ

二百年以上の歴史をもつウェッジウッドまでが倒産。“頼れる経済通”だったはずのブラウン首相も麻生首相といい勝負――。[ロンドン発]危機を叫ぶ警告の声は、日に日に深刻さの響きを増している。ゴードン・ブラウン首相の側近であるエド・ボールズ児童・学校・家庭相までもが、いま世界が直面しているのは一九三〇年代の大恐慌さえも上回る深刻な危機だと発言して波紋を呼んだ。 実際、経済危機の衝撃を示す新たな証拠が、毎週のように明らかになる。企業破綻や工場閉鎖に人員削減、加えて、ビル建設や商取引、あげくは家族休暇の中止まで、明るいニュースはひとつもない。一時回復した労働党政権の支持率は再び急降下し、野党保守党に一五ポイントも差をつけられている。 イギリスは、いま、まさに崖っぷちに立っている。 近年の逆風をうまく避けてきたと思っていただけに、現在の危機はいっそうイギリス国民の肌身に沁みている。傲慢にして誤った認識でしかなかったのだが、イギリスは欧州の他の国に比べて困難に強いと思い込んでいたのだ。一九八〇年代、保守党のマーガレット・サッチャー首相の時代に小さな政府への脱皮を済ませ、ポスト工業社会の繁栄をいち早く手にしたと考えていたからだ。

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