麻薬を運んで三千里「半潜水艇」を手作りしていたコロンビア人

執筆者:クリス・クラウル 2009年3月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米

[ボゴタ発]二月十三日、麻薬取締法違反容疑で米フロリダ州タンパの連邦裁判所で裁判にかけられたのは、コロンビア人エンリケ・ポルトカレーロ被告。米国や中米諸国にコカインを密輸するための「半潜水艇」を手作りしていたエビ漁師だ。 ポルトカレーロが南米コロンビアのブエナベントゥーラで逮捕されたのは昨年十一月二十五日のこと。それ以降捜査当局は、ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』の主人公をもじって彼を「ネモ艦長」と呼び、裏付け捜査を続けてきた。当局は、ポルトカレーロが過去二年間に、一隻で十トンのコカインを運搬できる船を二十隻建造したと見ている。密造船は長さ約十八メートル。潜水艦のように潜航・浮上はせず、水面すれすれに潜って進む「半潜水艇」だ。 ポルトカレーロは小学校二年で学校に行くことをやめた。だが、この背の低い猪首の漁師は独学で船を造り始め、ついには十人ほどを雇って六週間でファイバーグラスの半潜水艇を建造できる「造船所」をマングローブの密林の中に建てた。半潜水艇の価格は一隻百万ドル(約九千万円)。収益でポルトカレーロはエビ漁のための船を何隻も買っていた。 犯罪者ながら、その造船技術は革新的なものだった。流線型の船体はほとんど波紋を作らず、排気も極力減らして熱を検知する空からの捜索を免れた。航続距離は三千マイル(約四千八百キロ)で、コロンビアの太平洋岸から、密輸業者御用達のメキシコ南部テワンテペク湾まで苦もなく到達した。キャタピラー社など米メーカー製の三百五十馬力マリンディーゼルエンジンを搭載した半潜水艇は四人乗り。ポルトカレーロはパナマやベネズエラ、エクアドルなどでエンジンや部品を調達していた。

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