もはや和平を信じないイスラエル世論の深層

執筆者:吉岡良 2009年3月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東

ガザ大規模軍事作戦から間もなく行なわれた総選挙でも強硬派が支持を得た。パレスチナ側との「憎悪の連鎖」は途切れない。[エルサレム発]「和平交渉? 相手がいないじゃないか」。イスラエルでパレスチナ和平の展望について聞くと、こんな反応が返ってくることが少なくない。イスラエル軍が昨年十二月から今年一月にかけ、パレスチナ自治区ガザで展開したイスラム原理主義組織ハマスへの大規模軍事作戦により、「相手がいない」論はすっかり国民の間に根付いた感もある。 和平交渉がなかったわけではない。二〇〇七年十一月に米アナポリスで行なわれた中東和平国際会議から、イスラエルのオルメルト首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長は交渉を再開、会談を繰り返して信頼醸成を図ってきた。交渉の事実はもちろんイスラエル国内でも広く知られているのだが、多くの人は「ただ話しているだけ」と冷ややかだ。 二月十日のイスラエル総選挙では、まがりなりにも交渉路線を取っていた最大与党カディマがかろうじて第一党の座を守ったものの、全体では右派勢力が過半数を占め、和平路線への不信感が示された。イスラエル国民は米国で「変革」を訴えるオバマ政権が発足した直後、「変革」を拒否する判断を下した形だ。

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