「グリーン・ニューディール」は何を変えるのか

執筆者:五十嵐卓 2009年3月号
エリア: 北米

空前の世界経済危機のなか、各国が大きな期待を寄せる。課題も多いが、長期的視野を持って進めていくべきだ。 一月二十日に就任したオバマ米大統領が政策の柱として提唱する「グリーン・ニューディール」政策。太陽光発電、バイオ燃料など再生可能エネルギーの普及を加速し、地球温暖化対策を一気に進めるとともに、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車などエコ・カーを新産業として育成し、「百年に一度の経済危機」からの脱出を狙う構想だ。 米国の指導者が就任時に掲げた政策で、米国だけでなく、世界からこれほど切実で大きな期待を集めた政策はほとんどないだろう。金融危機に端を発した空前の世界経済危機は、旧来の財政出動型の景気刺激だけで克服できるとは誰も感じていないからだ。「金融」「資源」「新興国」の三つのバブルの瞬間的な崩壊を目の当たりにして、世界は経済成長の抜本的な構造転換を求め始めている。その突破口をオバマ大統領のグリーン・ニューディール政策に期待しているのだ。「環境」と「成長」を同時に狙う 三つの単語の頭文字を取って「GND」とも略されるグリーン・ニューディールは、日本を含め、世界で異常ともいえる盛り上がりをみせている。大統領就任式の数カ月前までは、京都議定書を痛烈に批判し、地球温暖化ガスの排出削減が企業や景気に与える影響を懸念していた企業家、官僚、政治家が、今やグリーン・ニューディールの需要創出、環境分野のイノベーションによる新産業の勃興に期待を示し、温暖化対策をめぐって一九九〇年代から続いてきた「環境をとるか、成長をとるか」という不毛の二元論は雲散霧消した。グリーン・ニューディールは「環境が成長をもたらす」という新たなコンセプトを打ち出しているからだ。

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