国家的欺瞞「年金財政検証」を検証する

執筆者:鈴木亘 2009年4月号
エリア: 日本

これは、どう見ても厚労省による「粉飾決算」だ。国民を欺いて解決を先延ばしすれば、事態はとり返しのつかないところまで行ってしまう。 昨年秋に始まった世界金融危機・世界同時不況は、既にわが国の経済、雇用に深刻な影響を及ぼしているが、我々の老後を支える公的年金にも大打撃を与えている。年金積立金を運用している厚生労働省管轄の「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」によれば、年金積立金の運用損は、昨年十―十二月期だけで五兆七千億円にも上る。二〇〇八年度全体の運用損は、十兆円を超えると見られる。 十兆円と聞いて、その金額に実感を持つ人は少ないだろうが、例えば消費税にすると四%強である。消費税といえば、基礎年金の国庫負担率引き上げを巡って、麻生総理発言の迷走が続いたのは記憶に新しいところであるが、あれだけ大騒ぎした国庫負担引き上げの必要財源でさえ、高々二・五兆円だったのである。その四倍もの年金財源が、突如として消えてしまったのだ。我々の年金は大丈夫なのか。そもそも危うかった「百年安心」 〇四年の年金改革で、国民に保険料引き上げと、給付の大幅カットを我慢させる代わりに、政府・与党は、今後百年先までの年金財政維持を約束した。いわゆる「百年安心プラン」である。しかし、その後の経済・社会情勢は、その前提となった甘い政府見通しを裏切る状況が続いた。

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執筆者プロフィール
鈴木亘 1970年生れ。上智大学経済学部卒。日本銀行勤務。大阪大学大学院修了(経済学博士)。大阪大学社会経済研究所、日本経済研究センター、東京学芸大学を経て、2009年4月より現職。規制改革会議専門委員(保育担当)。主著に『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、第51回日経・経済図書文化賞)、『だまされないための年金・医療・介護入門』(東洋経済新報社、第9回日経BP・BizTech図書賞)がある。
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