饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(135)

クリントン長官が切望した皇后陛下とのひと時

西川恵
執筆者:西川恵 2009年4月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 日本

 ヒラリー・クリントン米国務長官は二月十六日、就任後、最初の訪問国として日本を訪れた。明治神宮に参拝し、拉致被害者の家族とも面談するなど、「世界で最も重要な二国間関係」とする対日重視を行動で示した。日本側が破格の厚遇で迎えたのも当然のことだった。 日本側の手厚いもてなしは、まず十七日の麻生首相と中曽根外相主催の食事会に表れた。昼は中曽根外相による飯倉公館での昼食会、夜は官邸小ホールで麻生首相主催の夕食会がもたれた。一国の外相クラスに日本の首相と外相がそれぞれに食事会をもつのは極めて異例である。 昼食、夕食とも、ホテルオークラが受け持った。昼食はホテル内の和食料理店「山里」の料理だった。 〈円心盆で〉寄せ湯葉、うに、すっぽん椀、卵豆腐…… 〈揚げ物〉甘鯛と平貝の九条葱ソース、たらの芽、百合根 〈焼物〉特選和牛ひれ照焼、玉葱、新じゃが、アスパラ 〈御食事〉鯛御飯、煎り玉、穴子寿司、香の物、止椀 〈御食後〉メロン、苺 クリントン氏はヘルシーな料理へのこだわりが強い。ホワイトハウス入りしてから、バターやクリームを多用するフランス人料理長に「軽めに」と要望したが変わらなかったため、一年後の一九九四年に解雇。後任に野菜や豆類を使った米カントリー料理を得意とする米国人料理人のウォルター・シェイブ氏をヘッドハンティングしている。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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