饗宴外交の舞台裏 (135)

クリントン長官が切望した皇后陛下とのひと時

執筆者:西川恵 2009年4月号
エリア: 北米 アジア

 ヒラリー・クリントン米国務長官は二月十六日、就任後、最初の訪問国として日本を訪れた。明治神宮に参拝し、拉致被害者の家族とも面談するなど、「世界で最も重要な二国間関係」とする対日重視を行動で示した。日本側が破格の厚遇で迎えたのも当然のことだった。 日本側の手厚いもてなしは、まず十七日の麻生首相と中曽根外相主催の食事会に表れた。昼は中曽根外相による飯倉公館での昼食会、夜は官邸小ホールで麻生首相主催の夕食会がもたれた。一国の外相クラスに日本の首相と外相がそれぞれに食事会をもつのは極めて異例である。 昼食、夕食とも、ホテルオークラが受け持った。昼食はホテル内の和食料理店「山里」の料理だった。

カテゴリ: 軍事・防衛
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top