「介護難民」「待機老人」をいまこそ救え

執筆者:鈴木亘 2009年5月号
エリア: 日本

群馬県の老人施設で十人を死亡させた火災事故には、様々な問題が潜んでいた。福祉行政の構造的欠陥を正すための対策を提言する。 三月十九日の深夜、群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」において、十人のお年寄りが亡くなるという痛ましい火災事故が起きた。当初は、単なる老人施設の火災事故として伝えられたニュースであったが、時が経つにつれ、その背後に様々な問題が隠されていることが明らかとなり、各方面から強い非難の声が上がった。 第一に、火災の直接の原因として有力視されているタバコの火の不始末であるが、認知症や徘徊者が多い中で、入所者に居室での喫煙が許されていたということである。また、火災訓練がまったく行なわれていなかったことや、徘徊者の部屋は外側からの施錠を行なっていたこと、夜間の当直職員が一名であったことなど、ずさんな管理体制が次々と明らかになった。さらに、スプリンクラーや防火扉をはじめとする防火設備が無かったほか、建物自体がベニヤ板などで建て増しされていたこと、居室に職員の呼び出しボタンがなかったことなど、施設設備自体も欠陥だらけであり、施設を運営するNPO法人(特定非営利活動法人)の「彩経会」にまず非難が集中した。

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執筆者プロフィール
鈴木亘 1970年生れ。上智大学経済学部卒。日本銀行勤務。大阪大学大学院修了(経済学博士)。大阪大学社会経済研究所、日本経済研究センター、東京学芸大学を経て、2009年4月より現職。規制改革会議専門委員(保育担当)。主著に『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、第51回日経・経済図書文化賞)、『だまされないための年金・医療・介護入門』(東洋経済新報社、第9回日経BP・BizTech図書賞)がある。
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