現場知らずの農政で日本のワサビの危機

2009年5月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

 春は本ワサビ(学名ワサビア・ジャポニカ)の成長が始まる時期だ。日本原産の香辛料である本ワサビには、水の中で育てる水ワサビと、畑で育てる陸ワサビがある。水ワサビは生食用として利用され、陸ワサビは酒粕と合わせ「わさび漬け」などになる。 水ワサビは強い日光が射さない山間部の水がきれいな沢でないと栽培できず、その手間も大変だ。大敵は、モンシロチョウの幼虫(青虫)。かつてはキャベツなどに使う農薬を薄めて使っていたが、二〇〇二年の農薬取締法改正で転用が認められなくなった。 農薬を使うためには、まず農薬メーカーが作物に対する試験データをそろえて登録申請し、使用基準を定めなくてはならない。しかしワサビのような小規模な市場での農薬はメーカーにとって商売になりにくいため、登録をする会社はない。すでに取締法の経過措置も終了し、ワサビに農薬は全く使えなくなっている。 ワサビ農家は、手作業による防・除虫や、ハウス栽培に切り替えたが、コストと作業量の増加で生産量が激減。二〇〇〇年に千三百二十トン(根部分)だった水ワサビの国内生産量は、〇七年に八百四十一トンまで減少した。足りない分は中国や台湾、タイなどから輸入している。

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