「マイクロソフト帝国」の威光が消滅する日

2009年5月号

技術で他社に先行されても、圧倒的な資金力でねじ伏せてきた。しかし、戦略の間違いは、これほどの巨人をも傾かせ始めた。[シリコンバレー発]三月十九日、ニューヨーク・マンハッタンにある出版大手マグロウヒルの社屋に、IT(情報技術)やメディア業界の大物が集まっていた。ゲストスピーカーとして招かれたマイクロソフトCEO(最高経営責任者)のスティーブ・バルマーは、司会者からパソコン市場でのアップルの躍進について尋ねられると、いつもの調子でこうまくしたてた。「確かにアップルはわずかばかりシェアを上げたが、潮目はすっかり変わった。経済情勢が我々に味方している。ハードの性能は同じなのに(リンゴの)ロゴがついているというだけで普通の顧客は五百ドルも余計に払ったりするだろうか。そんなことはどんどん難しくなっている」 だが、バルマーの威勢の良さとは裏腹に、ライバルの不況による“失墜”を期待せざるを得ないほど、マイクロソフトの屋台骨を支えてきたパソコン用OS(基本ソフト)事業は精彩を欠く。 二〇〇八年十―十二月期決算によると、OS部門の売上高は三十九億八千二百万ドル(約四千億円)、営業利益は二十九億四千六百万ドルだった。利益率は七四%と依然高いが、前年同期との比較では、まさかの減収減益。最新OS「ウィンドウズ・ビスタ」への消費者の誘導が思うように進まなかったのが響いた。

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