いまテロの標的にされる「紳士のスポーツ」クリケット

執筆者:生島淳 2009年5月号
カテゴリ: スポーツ

 三月三日、パキスタンでスリランカのクリケット代表選手団を乗せたバスがテロリストに襲撃されるという「重大事件」が発生した。このテロにより警察官など八人が死亡、六人の選手が傷を負った。 事件後、パキスタン政府はただちに「ラシュカレトイバ」と呼ばれるイスラム過激派を非難した。今回の事件への関連はまだ明確ではないが、この武装集団はカシミール地方の分離独立を掲げ、二〇〇八年十一月に起きたインド・ムンバイでのテロの黒幕とされる。ラシュカレトイバに限らず、イスラム原理主義組織はクリケットを「罪深いスポーツ」としてテロの対象と見なしてきた。なぜなら「イギリスは剣を取り上げ、その代わりバットを与え、我々の力を奪ってから征服を行なった。クリケットは征服の道具」と考えてきたからだ。 では今回、なぜスリランカ代表が標的となったのか? それを理解するためにはクリケットの歴史を理解する必要がある。 英連邦諸国で根強い人気を誇るクリケットは十四世紀にイギリスで始まったとされる。一チーム十一人で構成され、野球の元とも言われる競技だ。統括組織である「インターナショナル・クリケット・カウンシル」には現在、百四カ国が加盟している。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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