米「アフガニスタン新戦略」を“傍観”した欧州

執筆者:黒瀬悦成 2009年5月号
カテゴリ: 国際

「第二のベトナム」にしないため、何とか「出口」を探そうとするアメリカ。だが、初訪欧のオバマ大統領は“控え目”に終始して……。[ストラスブール発]「米国は、単独では世界が抱える問題に対処できない。逆に欧州にとっても米国の存在は不可欠だ」 オバマ米大統領にとり、外交舞台への本格デビューとなった欧州・トルコ初歴訪(三月三十一日―四月七日)は、「聞き、学び、(世界を)リードする」を謳い文句に、ブッシュ前政権がイラク戦争などで振りまいた「単独行動主義」のイメージの解消と旧大陸との亀裂の修復に向け、一定の成果を挙げたと言える。 前政権で冷却化した米欧関係が、大統領による一回の歴訪で早くも改善に向かっているのは、選挙公約でも対欧関係の立て直しを主張していた「人間オバマ」に対する欧州諸国の期待度の高さを示すものだ。 オバマ政権高官は、大統領の外交スタイルを「ビジネスライクだ」と表現し、外国首脳との個人的な「友情」に根ざした外交を志向したブッシュ氏との違いを殊更に強調する。しかし、「米国は聞き役に回ってこそ指導力を発揮する」と、これまであまり聞いたことのない米国観を披瀝し、欧州などの立場に耳を傾ける姿勢を印象づける手法は、ビジネスライクというよりも、むしろ自らの「魅力」をテコに相手国首脳への食い込みを図るという意味で、ブッシュ氏をはるかに上回る高度な「個人外交」と見た方が適切なようだ。

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