スイスに続きスペインも ついに現実化し始めたデフレーションの恐怖

2009年5月号
エリア: ヨーロッパ

 欧州経済がデフレーション(持続的な物価の下落)に覆われつつある。売上高の減少や金融機関の資産劣化を招くデフレは、欧州経済に一段と暗い影を落とす恐れが大きい。 スペインの三月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比で〇・一%のマイナス。二月はまだプラス〇・七%だった。同国の物価が前年比マイナスとなったのは、データをたどれる一九六一年以来初めて。欧州ではすでに二月にスイスがマイナス〇・一%となったほか、アイルランド、ポルトガルがともに〇・一%(二月)とデフレ突入が目前に迫っている。欧州内でも先進国ほどデフレ基調が強い。 デフレ基調は経済活動の縮小に直結する。自動車メーカー仏プジョー・シトロエングループは二〇〇八年通期で売上高が前年比七・四%減少。航空大手エアバスは〇八年の航空機受注が七百七十七機と前年比で四二%減った。売り上げ、利益とも大きく減らした企業は、雇用削減に手をつけ始めている。そうなれば個人消費の減少も避けられない。 金融機関を通じた悪影響も強まっている。スペインは三月末、貯蓄金融機関のカハ・カスティリャ・ラ・マンチャに対し九十億ユーロ(約一兆二千億円)の緊急資金援助を決めた。政府や中央銀行による個別金融機関への支援は十六年ぶり。政府は「金融システムは安定している」と火消しに躍起だが、経営規模の小さい地域金融機関を中心に、不動産市況の悪化が経営を揺さぶっている。貸出資産の劣化によって銀行は新規融資を絞り込むため、家計の住宅購入や企業の設備投資を一段と冷え込ませるという悪循環だ。

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