音楽業界「巨大合併」が呼び起こした大騒ぎ

執筆者:北谷賢司 2009年6月号

犬猿の仲だったアメリカ音楽業界の“両雄”が突然手を握った。だが、すぐに大きな批判が渦を巻き始め……。 世界の音楽産業を震撼させる、前代未聞の企業合併計画が発表されたのは、二月十日のことだった。世界最大の音楽興行会社ライブネーションと、同じく最大のエンタテインメント・チケット販売会社チケットマスターが合併し、コンサート・ビジネスにおける垂直統合企業を誕生させるというのだ。実はこの二社、つい直前までお互いを誹謗中傷してきた間柄。ライブネーションは昨年末でチケットマスターへの販売委託契約を打ち切り、自前のチケット販売サービスを一月から開始したばかりであったため、発表が業界に与えた驚愕の度合いは尋常ではなかった。 日本国内ではまだ二社のブランド認識度は低いものの、ライブネーションは昨年、世界三十三カ国で千六百人のアーティストを起用、二万二千回のコンサートを興行し延べ五千万人の有料観客を得ており、総売上は四千二百億円に及ぶ。実際、ここ数年に来日したマドンナ、U2、ザ・ポリスなどは、同社が日本国内の招聘業者やプロモーターを介さず自主興行したものである。チケットマスターも、チケットの総取扱数が一億四千万枚、取扱高八千九百億円、手数料収入一千二百億円の巨大企業として世界二十カ国で事業展開中だ。中国でも北京五輪のチケット販売権を取得したことを機に興行会社を買収し、北京や上海を中心に欧米系アーティストを招聘している。

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