オバマ流「核のない世界」で日本が直面する難題

執筆者:飯塚恵子 2009年6月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 日本

核廃絶を国是としながら、本音ではアメリカの核による抑止力を必要とする――このジレンマからもはや目をそらせない。[ワシントン発]五月六日、アメリカの今後の核戦略と日本の安全保障に少なからぬ影響を与える報告書が発表された。米連邦議会の超党派の諮問委員会がまとめた「アメリカの戦略体制(America's Strategic Posture)」という最終報告書だ。 核テロや核拡散への対策、核抑止力のあり方、核軍縮の道筋――など、丁寧な検討が行なわれているが、超党派レポートの性格上、どちらかに傾いた突出した意見は少なく、米メディアはそれほど報じなかった。だが、今回の報告書は、アメリカの核抑止力に守られる同盟国、とりわけ日本にとっては、大きな意義を持つ内容となった。「米国戦略体制委員会」と名付けられた委員会は、法律に基づいて昨年三月に発足。委員長と副委員長にそれぞれ、ウィリアム・ペリー、ジェームズ・シュレジンジャーの両元国防長官が就き、中長期的なアメリカの核戦略のあり方を検討した。 報告書は計百八十ページで、両氏をはじめ、民主・共和両党の左右両翼を代表する安全保障政策の重鎮らが委員に名を連ねた。七十人を超える米国内外の政府関係者と有力専門家らへの意見聴取が行なわれ、今年末までの取りまとめが義務づけられている「核戦力体制見直し(NPR=Nuclear Posture Review)」に影響を与えるものとして注目を集めてきた。

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