中国の「無思慮」が台無しにしたもうひとつのインフルエンザ治療薬

2009年7月号
カテゴリ: 国際 社会
エリア: 中国・台湾 日本

 新型インフルエンザ騒動でその存在が広く知れ渡ったのが、治療薬のタミフルとリレンザだ。政府の備蓄は三千八百万人分で、万一、全国的に感染が広まったら備蓄分では足りないのは言うまでもない。「もうひとつのインフルエンザ治療薬が使えたら」というため息をもらした医療関係者もいた。 もうひとつのインフルエンザ治療薬とは一九六四年に米国で開発されたアマンタジン(商品名はシンメトレル)だ。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の三種類があるが、アマンタジンはA型インフルエンザの特効薬として知られていた(今回の新型もA型に属する)。欧米では昔からインフルエンザ治療薬として広く利用され、日本ではパーキンソン病治療薬として認可されたのち、一九九八年にA型インフルエンザ治療薬として承認されている。 ところが、そのアマンタジンは今ではインフルエンザ治療薬として使えなくなっているのである。「日本ではほとんど報道されていませんが、実は、二〇〇五年頃インフルエンザウイルスがアマンタジンに対し耐性(投与を繰り返す内に薬効がなくなること)を持っていることが分かり世界中の医療関係者が首をひねっていた。そんな折、米ワシントン・ポスト紙が、中国でアマンタジンを鳥インフルエンザ予防と称して鶏の餌に混ぜて使用していることをスクープした。中国遼寧省でインフルエンザが発生したとき政府が大量にアマンタジンを配布。感染していない人にも服用させたばかりか、鶏が鳥インフルエンザに感染しないように餌に混ぜていたとも伝えられています」(ある製薬メーカー幹部)。

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