経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(17)

自動車産業の明日を占う「成熟市場」での格闘

田中直毅
執筆者:田中直毅 2009年7月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 GM(ゼネラル・モーターズ)はついに破産し、債権者や労働組合との利害関係を「事前に調整する」形で法的整理の手続きに入った。米国の産業地図に影響を与えるのはもちろんだが、国境を越えて幾多の変動の引き金を引くことになるだろう。ここではカナダのオンタリオ州(州都トロント)を中心に、この変動のもつ因果関係の見定めを世界経済地図の中で行なってみたい。 二〇〇三年の春。トロント大学のウェンディ・ドブソン経営学部長は「中国やインドの廉価な車が北米市場に浸透したとき、トロント周辺の都市基盤が被る影響の分析を開始したい」と私に述べた。グローバリズムのもつ変革力にオンタリオ州の経済が確実に曝されていることから、総合的な研究アプローチが必要だというのだ。 この年の夏は新型肺炎(サーズ)がトロント市の一部を襲った。香港から帰国した人の中に感染者がいたのだ。トロント市の対応の不手際もあり、チャイナ・タウンを中心に感染者が広がった。しかし私は予定通りトロントを訪問し、また南オンタリオのウォータールー市やウィンザー市にも足を伸ばした。米国の中西部からデトロイト市を経て、南オンタリオに至る地域の産業集積の概観だけでも点検しておきたかったからである。

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執筆者プロフィール
田中直毅
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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