饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(138)

大使公邸で展示会を開く仏のしたたかなブランド外交

西川恵
執筆者:西川恵 2009年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

 最近、駐日フランス大使公邸で、女性の高級靴ブランド、ロジェ・ヴィヴィエの展示会が開かれた。まだ日本ではあまり知名度はないが、エリザベス英女王が戴冠式の時に特注するなど、一九三七年から続くフランスの有名ブランドだ。 五月二十八日、港区南麻布の高台にある大使公邸。広い二間続きの応接間をぶち抜きにし、ソファーやテーブルの上に、秋冬シーズン向けの靴やバッグをさりげなく置くという、しゃれた展示が目を引く。ファッション・ジャーナリストなど関係者は、公邸の給仕にシャンパンやカナペをサービスされながら、ゆっくり見て回った。 ブーツやフラットなバレリーナシューズ、エリザベス女王が戴冠式の時に特注した靴のモデル、女優のカトリーヌ・ドヌーブが映画「昼顔」で履いて以来、個人的にリクエストしている六・五センチのハイヒール、ソフトレザーのバッグ……。 欧米では上流階層を主たる顧客とするコレクションは、公邸の豪華な雰囲気にピッタリ溶け合った。緑に囲まれたテラスに出てひと息入れる人も。会場で会った知り合いの女性ジャーナリストは「こんな素敵な場所を、よく一介のブランドが借りられましたね」と感嘆した。 その前日、ロジェ・ヴィヴィエの経営に参画している元スーパーモデルのイネス・ド・ラ・フレサンジュさんを囲むフォール大使夫妻主催の少人数の昼食会が持たれた。PRと日本の女性誌などとのインタビューを兼ねて来日したもので、私もイネスさんの隣の席でお相伴にあずかった。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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