【ブックハンティング】「明るい盲聾者」の生き方が万人に「使命」を問いかける

執筆者:三宮麻由子 2009年7月号
カテゴリ: 書評

「一人の記者が出会ったのは、視覚と聴覚の両方を失って自殺まで考えながらも、絶望から立ち直って東大教授となった『明るい盲聾者』福島智。その魅力と壮絶な生き方に惹かれ、四年の歳月をかけて取材・執筆した渾身の一冊」――というのが書評らしい書き方かもしれない。もちろん、それも真実である。だが、私はこの本から別のメッセージを読み取った気がする。 福島氏は、実は私にとって盲学校の先輩に当たり、氏が失聴した前後に同じ校内で生活した経験がある。著者、生井久美子は『ゆびさきの宇宙 福島智・盲ろうを生きて』の中で、福島氏が「羽をもがれるようにして、光と音を失って育つ」と書いているが、右目、左目、聴力のうち三番目の羽を奪われる前と、奪われた直後の福島氏を、私は鮮明に記憶している。

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