インフル騒動から見えた「職場のあり方」の問題

執筆者:渥美由喜 2009年7月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

 今回の新型インフルエンザ感染拡大が社会に与えた影響は大きい。多くの感染者が出た兵庫県、大阪府では、保育園や幼稚園、小学校で感染拡大を防ぐため、一週間前後にわたって休園、休校したところが多い。 そのため、共働きの親のどちらかが仕事を休まざるをえない状況となった。共働き世帯が大きなしわ寄せを受けるのみならず、職場にとっても大きなロスが生じる。 休園、休校に伴い、〇歳から小学生までの子どもを持つ親の欠勤で企業が被る職場コストはきわめて大きい。 今回のインフルエンザについて、〇歳から小学生までの子どもを持つ共働きの親の割合、子どもの数などを厚生労働省のデータと組み合わせて、欠勤世帯数を算出した。従業員が欠勤した場合、業務の中断や代替などにかかる費用を職場が被る損失コストとして試算したところ、兵庫県、大阪府では計約二百億円にのぼった。仮に、首都圏で同様の事態が発生した場合には、企業が被る経済的損失は六百億円近くになるとみられる。また、強毒性の新型インフルエンザが流行した場合の損失額は十―百倍以上になると推計される。 このように現在の日本の「職場のあり方」は極めて大きなリスクを抱えている。従業員が自宅で働くことができる「在宅勤務」制度の導入や、従業員が休んでも混乱しない職場の体制づくりが急務だ。

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