三十年前に始まった中国の改革・開放。広東省と共にその先導役を期待されたのが福建省だ。一九八〇年八月に正式発足した経済特区は広東省の三カ所(深セン、珠海、汕頭)のほか、福建省アモイにも置かれ、広東省は隣接する香港から、福建省は対岸の台湾からの資本導入が図られた。しかしその後、福建省は沿岸部の他の地域に遅れをとり、二〇〇八年の一人当たり域内総生産(GDP)は江蘇省や広東省の八割程度にとどまる。 発展が遅れた原因の一つは、台湾資本の受け入れがさほど進まなかったためだ。台湾当局の統計によれば、台湾から中国への累計投資額に占める福建省のシェアは七%に過ぎず、江蘇省(三三%)や広東省(二四%)を大きく下回る。福建省では鉄道や道路などの建設が遅れたほか、中台間の「三通」(通航、通信、通商)が進まなかったため、香港などを経由しなければならない不便さがあった。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン