水着開発レースに翻弄される競泳界

執筆者:生島淳 2009年8月号
カテゴリ: スポーツ

 五月十日、水泳の日豪対抗で入江陵介(近畿大学)が二〇〇m背泳ぎでマークした一分五十二秒八六は、それまでの世界記録を一秒以上も上回る大記録だった。 しかし着用していたデサント社製の水着が国際水泳連盟(FINA)から承認されず、幻の世界記録に終わってしまった。 なぜ、こうした不手際が生じたのだろうか。 問題はFINAが北半球でシーズンが本格化する四月の段階で、新しく開発された水着の承認・不承認を発表できなかったことにある。例年であれば、三月までには公表されるものが六月までずれ込んでしまったのが混乱の原因となった。 現在、競泳用水着の開発は、歴史上最も熾烈な競争が繰り広げられている。昨年、イギリスのスピード社が開発した「レーザーレーサー」(LZR)がその端緒となり、北京五輪で誕生した二十五個の世界新記録のうち、二十三個までがLZRを着用したスイマーのものだった。 実のところ競泳界では、LZRが承認されたのは、「スピード社がFINAのオフィシャル・パートナー」だからではないかという見方がある。当然、スピード社からFINAに対しては資金提供があるため、パートナーにはルール改正などの情報提供が早かったり、審査も甘いのでは……という憶測が流れている。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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