マイケル・ジャクソン「幻の日本公演」の舞台裏

執筆者:北谷賢司 2009年8月号

マイケルの死でロンドン公演は露と消えた。だが、実は日本でも東京ドーム公演に向けて水面下での動きがあった――。「遅れて悪かった。今、マイケルのサインを取ってきた。これで、ロンドンからのスタートが決まったぞ」 普段は喜怒哀楽をあまり表さないAEGライブCEO(最高経営責任者)のランディー・フィリップスが、珍しく満面の笑みで席についた。今年一月二十八日の夜、私はロサンゼルスのハイアットリージェンシーセンチュリープラザ・ホテル内のレストランの個室で、旧友である欧米音楽業界のプロモーターたちとディナーを共にしていた。 AEGライブとはアメリカの大手総合エンタテインメント企業アンシューツ・エンタテインメント・グループ(AEG)の一つで、音楽プロモーションなどを行なう興行事業会社。七月十三日から行なわれるはずだったマイケル・ジャクソンのロンドン公演の興行主でもある。 会合に集まったのは、過去にマイケルやローリング・ストーンズの世界ツアーを手がけたドイツの大物プロモーター、マーセル・エブラム。ポール・マッカートニーのツアーマネージャーとして著名な英国のバリー・マーシャル。そしてAEGライブのコンサート事業部門共同社長で、セリーヌ・ディオンの四年間のラスベガス興行を仕掛けたジョン・メグレン。更にメグレンと同じく共同社長で、マイケルのツアー会計士を経て、プリンスのロンドンO2アリーナでの二十一回興行を成功させたポール・ガンガウエアー。業界の実力者が勢揃いしていた。当初は、旧友会を開く意図で集まったのだが、会合は急遽、マイケルがロンドン興行を終えた後、どのような方法で世界ツアーを行なうかを協議するブレーンストーミングの場に変わった。

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