「対クーデター」で際立った米国の政策転換

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2009年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米 北米

クーデターで現職大統領が追放されたホンジュラス。収拾策をめぐり、アメリカとベネズエラが米州の覇権を賭けた駆け引きを演じている。 中米ホンジュラスのセラヤ大統領が六月二十八日未明、軍に拘束されパジャマ姿のままコスタリカに追放された事件は、半世紀前まで中南米で頻発したクーデターを彷彿させるものであり、世界中が一様に非難したように、国際環境の変化との間に大きな落差を感じざるをえないものであった。 政変への対応をめぐっては、中米における反米左派の一角を死守したいベネズエラ・チャベス政権と、対中南米政策の変化を印象づけつつも中米の親米国からベネズエラの影響を減らしたい米オバマ政権が、いち早く一致してクーデターを非難する同床異夢を演じている。 クーデターは、最高裁の違憲判断と国会や全国選挙管理委員会の反対にもかかわらず、大統領が、憲法で禁止された再選を可能にするため制憲議会招集の是非を問う国民投票を強行しようとしたことに起因する。軍は「最高裁の決定に従ったまで」と正当性を強調、議会は同大統領を罷免し、暫定大統領にミチェレッティ国会議長を任命した。 しかし双方に判断ミスがあったことは明らかで、大統領には国民投票反対の包囲網を街頭からの民衆パワーで打ち破れるとしたお粗末な判断があった。また反対派にとってオバマ政権を含む国際社会の一致した非難は想定外のものだっただろう。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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