「戦時体制」に一変したアメリカの新型インフルエンザ対策

執筆者:松尾理也 2009年9月号
タグ: 感染 アメリカ
エリア: 北米

[ニューヨーク発]「われわれは新種のウイルスが存在する世界に生きている。やることをやらずに後悔するよりは、やり過ぎたほうがいい」 世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)を宣言した六月、米国の感染症対策を担う疾病対策センター(CDC)のトム・フリーデン所長(四八)はそう語った。 今回の新型インフルエンザウイルス(H1N1型)は、過去のウイルスが六カ月以上かけて拡がった範囲に六週間足らずで到達。WHOは感染状況の逐次発表には意味がないと判断し、七月六日をもって集計値の更新を停止した。その時点で、米国の感染者は三万三千九百二人、死者は百七十人と世界最多。二番目に多いメキシコ(一万二百六十二人、百十九人)を大きく上回っていた。

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