「デジタル」「3D」で映画ビジネスはこう変わる

執筆者:北谷賢司 2009年9月号

技術革新の成果というよりも、要は経済効率の問題。「新兵器」によって、映画業界は伸び悩みからの脱却を図れるのか。 最近、「デジタル」「3D」といった言葉が映画広告に大書されることが多くなってきた。作品の大半はハリウッド・スタジオによる子供向けアニメーション映画だが、今年から来年にかけて大型予算の実写作品も続々と配給が予定されており、欧米では二〇〇九年を「デジタル3D元年」と位置付けている。 では、なぜ映画がフィルム撮影ではなくデジタル化されるようになり、3D(三次元)が重要視されるようになったのか。その理由は、映画産業が技術の進歩を積極的に取り込もうとしているのではなく、経営効率を高め、海賊版映画の根絶を目指すことにある。技術的には保守的な映画製作で知られるハリウッドで、フィルムでの撮影にこだわる監督、俳優、職人たちでさえ、この流れには逆らえなくなってきている。 二十世紀フォックスなどハリウッド・メジャースタジオ七社を頂点とする北米の映画産業は、ウォール街からは既に大きな成長が見込めない成熟産業と目されている。ヒット作によって多少の増減はあるものの、最大市場である米国の観客動員数は年間十三億から十四億人で伸び止まっており、〇八年度は〇二年度に比べ一一・一%の減少。減収をカバーするためにチケット料金は毎年値上げが繰り返され、〇二年に平均価格五・八一ドルだったチケットは〇八年には七・一八ドルへと高騰した。

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