饗宴外交の舞台裏 (140)

「珍事」の余波で注目集めたファーストレディーの活動

執筆者:西川恵 2009年9月号
エリア: ヨーロッパ

 イタリア中部のラクイラ。今年四月の震災で三百人を超える犠牲者を出し、いまなお多くの人が避難生活を送る。余震が続き、安全も完璧とはいえない場所に世界の首脳を集めたG8サミット(主要国首脳会議)は、従来と様相を大きく異にした。 これまでサミット初日の夜は社交にあてられ、カップルで晩餐会に出席するのが慣例だった。昨年の洞爺湖サミットでは、福田首相夫妻がホストとなって、北海道の豊かな食材の料理でもてなした。この晩餐会は初参加の首脳にとって、夫人ともども他首脳夫妻と打ち解ける貴重な機会でもある。しかし今回、この饗宴が省かれたのだ。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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