英国が感慨に包まれた第一次大戦「生き残り」の死

執筆者:マイケル・ビンヨン 2009年9月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: ヨーロッパ

[ロンドン発]二〇〇九年七月二十五日、ハリー・パッチ氏死去。享年百十一歳――その訃報に、英国中が深い感慨に包まれた。わずか一週間のことながらヨーロッパ最高齢であったというだけではない。彼は、第一次世界大戦(一九一四―一八年)で戦った英陸軍兵士の最後の生き残りだった。果てしない塹壕戦で泥にまみれ、砲弾と毒ガス攻撃の中で八十万人以上の英軍兵士が命を落とした最悪の四年間――今なおこの国に癒えない傷を残す惨劇を、身をもって知る人物が遂に誰もいなくなったのだ。 第一次世界大戦終結から九十年を経た昨年十一月の休戦記念日、ロンドンで行なわれた戦没者追悼の記念式典に、同大戦を戦った兵士の最後の在英生存者三名のうちの一人としてパッチ氏も出席した。今年に入り三人は相次いで死去、最年長だった元海軍航空隊員のヘンリー・アリンガム氏は、パッチ氏の死のわずか一週間前に百十三歳で亡くなっている。 パッチ氏の死の報に、エリザベス女王はその武勇を称え、彼の世代の人々が国のために払った犠牲の大きさに敬意と哀悼の意を表した。また、ゴードン・ブラウン首相は“偉大なる人物”の死に、「最も高貴なる魂が世を去った。しかし、我々は永遠に彼を忘れない」と語った。

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