激化する「LED照明の先」の技術競争――次世代の光源「有機EL」 1

執筆者:船木春仁 2009年9月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 NHKの人気報道番組「クローズアップ現代」。今年三月三〇日に放送開始一七年目を迎えてスタジオやタイトルが一新された。そのために現在は使われていないのだが、旧スタジオでは四年近くにわたり、NHK放送技術研究所が開発した新時代技術の運用試験が行なわれていた。 キャスターには、真っ正面と正面上部などからライトが当てられる。そうすると首下に影が出るので、原稿台の内側にキャスターライトと呼ばれる補助光源が置かれる。通常は蛍光灯なのだが、旧スタジオでは「有機EL照明」が導入されていた。 約六センチ四方の白色有機EL素子(光源)を横方向に六枚ほど配列したライトで、厚さはわずか八ミリ。明るさは蛍光灯とほぼ同じ。有機EL照明は、パネル全体で面発光し、直接光なのに包まれるようなやわらかな光を出す。キャスターの顔は、輪郭のはっきりとしたきつい感じから、フォーカスがかかった穏やかな印象に変わる。NHKでは、「おはよう日本」や二〇〇四年のアテネ五輪の現地スタジオでの試験運用を経て、〇五年から「クローズアップ現代」での実地テストを重ねていた。有機ELによる一般照明器具はまだ、世界のどこからも発売されていない。「クローズアップ現代」のように、長時間にわたって実用器具として使われた例も皆無だ。

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