外資企業を悩ませる中国当局の“報復措置”

2009年9月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

「タイミングから見て明らかな報復。我々も慎重に行動しなければ……」。英豪系資源大手リオ・ティントの社員が中国当局に拘束された事件は、中国でビジネスを展開する多くの外資系企業幹部に背筋の寒い思いをさせている。 七月五日、同社の上海事務所幹部で豪州国籍を持つ中国系のスターン・フー(中国名・胡士泰)氏と中国籍社員の計四人が上海市国家安全局に拘束された。今年の鉄鉱石価格交渉が難航している中での拘束劇で、中国当局は「鉄鋼メーカー関係者を買収し、国家機密を盗んで中国に重大な損害を与えた」と説明している。 業界関係者によると、リオ側が入手したのは鉄鋼各社の生産計画、原料調達方法、業界団体の会議内容といった情報だった。企業秘密ではあるかもしれないが、“国家機密”という表現には首を捻りたくなる。しかし、中国側は「製鉄業は中国経済の重要な一部であり、製鉄企業の秘密情報は中国経済全体の利益にかかわる国家機密」(中国社会科学院経済学者)という論理で、「軽くても五年以下の懲役、重ければ死刑」(弁護士)という罪を適用する構えだ。 中国側のこうした強硬な姿勢は、中国国営資源大手中国アルミがリオに百九十五億ドルを出資する計画が、六月に破棄されたことに対する“報復措置”という見方が強い。出資計画は、資源の囲い込み戦略を強める中国にとって、鉄鉱石などの安定調達につながる大きなメリットがあった。

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