インテリジェンス・ナウ
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カルザイ放逐に踏み切れないオバマ大統領の悩み

春名幹男
執筆者:春名幹男 2009年10月号
カテゴリ: 国際

 アフガニスタンは「オバマのベトナム」になる――。米誌ニューズウィークがオバマ大統領の就任時に、そう警告した悪夢が現実になる恐れが出ている。 もちろん、ベトナムとアフガニスタンは違う。だが、オバマ政権がこのままアフガニスタンへの米軍増強を続けたら、ベトナムと同様、泥沼に陥る、と米専門家らは恐れているのだ。 最大の誤算は「カルザイ大統領」だった。 米中枢同時多発テロ後、多国籍軍がタリバン政権を崩壊させてから八年。民族服で颯爽と登場したカルザイ大統領とブッシュ前米大統領の関係は極めて緊密だった。日本政府もカルザイ大統領を強力に支援した。 だが実は、カルザイ大統領はとんだ食わせ者だったようだ。 アフガンでは、カルザイ・ファミリーは腐敗と利権の象徴的存在とみられている。米国籍を得て、アメリカでアフガン料理店を経営していた兄マームード氏は帰国後、瞬く間に巨額の富を築いた。セメント工場、銀行、不動産、トヨタ車ディーラーなどに投資し、商業会議所を牛耳り、外国からの投資を仕切る。米国とカブールの自宅、ドバイの別荘を頻繁に移動している。 大統領は全部で七人兄弟。中には政治・外交の裏工作に従事する者もおれば、麻薬取引で儲ける者さえいると伝えられる。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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