現地取材で探った「ジャマイカ人はなぜ速いのか」

執筆者:忠鉢信一 2009年10月号
カテゴリ: スポーツ 国際
エリア: 中南米

 ジャマイカのウサイン・ボルトが陸上の世界選手権男子100メートル決勝を9秒58の世界新記録で走り抜けた。ゴール前で力を抜きながら9秒69をたたき出した一年前の北京五輪の残像が脳裏で重なる。ボルトは秘めた力をついに見せたのだ。 その四日後の男子200メートル決勝では向かい風を受けながら世界新記録の19秒19。無風や追い風だったらどんな記録を出せたのだろう。 男子100メートルでは同じジャマイカの元世界記録保持者、アサファ・パウエルが三位。同じく女子100メートルでは北京五輪の金銀銀(二位が同着)に続く金銀に輝いた。 ジャマイカ人はなぜ速いのか。そのテーマを追って私が初めて現地を訪ねたのは二〇〇七年一月。パウエルが出ていたキングストンの草レースを取材していると体格のいい黒人女性に声をかけられた。東京五輪の陸上女子4×100メートルリレーに出場したヴィルマ・チャールトン。往訪理由を告げると、「ジャマイカの歴史をご存じ?」と問われた。 ジャマイカは奴隷貿易の時代、アフリカから米国へ売られる奴隷を一時的に集める「倉庫」だった。脱走した奴隷が山地に潜み、暑さとマラリアに耐え、蜂起して英国から独立した。だからジャマイカ人は遺伝的に体力が優れている。そんな「伝説」をヴィルマは教えてくれた。

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