「鉄道新時代」がやってきた

執筆者:新田賢吾 2009年10月号

アメリカ、中国、インド、ブラジル……。世界で鉄道建設計画が目白押しだ。二十一世紀型インフラとして見直される鉄道の魅力とは何か。「日本の新幹線は最も速く、最も安全で、輸送能力、効率性にもすぐれた高速鉄道システム」。年初に発足したオバマ政権も落ち着きを見せ、選挙キャンペーンではない本格的な政策が次々に打ち出され始めた六月末のワシントンで、JR東海の葛西敬之会長が米政府関係者や鉄道専門家を前に、こう熱弁をふるった。 新幹線を世界に輸出しようという日本の戦略からすれば、当たり前の活動と思いがちだが、自動車王国の米国はこれまで高速鉄道には目もくれず、日本の新幹線売り込みのチャンスなどほとんどなかった。それが一転、米政府関係者が新幹線の説明に真剣に耳を傾ける姿に、日本の鉄道関係者は驚きを隠さない。だが、変化は米国だけではない。世界的に鉄道、とりわけ高速鉄道に強い関心が向けられ、「鉄道新世紀」ともいっていい状況が今、生まれつつあるのだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top