“追悼政局”に勝利した韓国・李明博政権

執筆者:黒田勝弘 2009年10月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 朝鮮半島

盧武鉉自殺に揺れた李政権が、「金大中国葬」で自信と安定を取り戻した。内閣改造での用兵も巧みだ。不安材料は日本の政権交代か。[ソウル発]韓国ではこのところ前・元大統領が相次いで亡くなり、大々的な追悼と葬儀で忙しかった。いずれも熱狂的で固定的支持層をもった指導者だったため、追悼ムードは否が応でも高まった。 旧政権の指導者に対する熱い追慕は、現政権にとっては心地よいものではない。旧政権勢力の追悼イベントでは「李明博政権打倒!」のスローガンが目立った。しかし追悼ムードが去った今、李明博政権の支持率は逆に高まり、安定度を増しつつある。この背景は何か。 韓国政治は、亡くなった金大中元大統領と盧武鉉前大統領の過去十年、親北・左派政権下にあった。現在の李明博・保守政権はそこからの変化、脱出として誕生した。このため左派勢力など旧政権勢力は当然、両大統領への追悼ムードを反李明博の反政府運動に利用しようとした。昨年、李政権スタート直後に起きた米国産牛肉の狂牛病騒ぎによる反政府運動の爆発に味をしめた、旧政権勢力のあらたな巻き返し策である。 とくに自殺となった盧武鉉前大統領の異例の死に、支持層は激しく反応し“追悼政局”として李政権を揺さぶった。在任中の贈収賄事件捜査にかかわる“苦悩”が自殺の原因だったため「盧氏は検察捜査―李明博政権に殺された」というわけだ。

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執筆者プロフィール
黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1941年生れ。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長兼論説委員を経て現職。2005年度には日本記者クラブ賞、菊池寛賞を受賞。在韓30年。日本を代表するコリア・ウォッチャーで、韓国マスコミにも登場し意見を述べている。『“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。
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