「災害政治」で躓いた台湾「馬英九」の失速

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2009年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

災害は指導者の危機対処能力を試す。だが、大水害に襲われた馬政権は「黄金の三日間」を空費し、高支持率は激落――。[台北発]どんな幸運な指導者にも「躓きの石」は用意されているものである。問われるのは、石をいかにたくみに避けるか。躓いた時はいかに素早く態勢を立て直せるか。それを「危機管理能力」と言い換えてもいい。 この夏、台湾の馬英九政権は「災害」という石に躓いた。二〇〇八年五月の政権発足以来、予想を超えたスピードで中台関係を改善。二〇一二年の次期総統選の再選も間違いなしとされ、任期内の中台平和協定の締結であわよくばノーベル平和賞も――。そんな声すらささやかれていた。 それがいまや台湾民衆の間で「腐敗した(陳水扁)総統が去って無能な(馬英九)総統が来てしまった」というフレーズが流行するほどに様変わり。台風が台湾を襲った八月七日以降、「無能政府」への怨嗟の声を新聞やテレビで見かけない日はなかった。 救助活動のあまりの遅さ、政権幹部の呆れるほどの危機意識の欠如、馬総統自身がこぼした心ない失言の数々……。馬総統の支持率は一時、日本のような議院内閣制の国なら政権の危険水域とされる二割を切った。「楽観」から「パニック」へ

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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